前回は、「引き直し計算」を行うということを、お話ししました。
では、この引き直し計算というのは、具体的に、どうするということでしょうか。
話を分かりやすくするために、山田さん(仮名)が、サラ金から、50万円を、平成元年1月1日に利率29・2%、年1回利息分を返済するという返済条件で借りたとします。
50万円を1年間29・2%の利率で借りた場合の利息は14万6000円です。
山田さんは、平成元年12月31日の時点で、サラ金に対して14万6000円を返済しました。
そして、山田さんには、残元金50万円の債務が、あいかわらず残っていることになります。
では、弁護士は、それを、どのように、計算し直すのでしょうか。
50万円の場合、利息制限法により認められている利息は18%です。
50万円を1年間18%の利率で借りた場合の利息は9万円です。
ですから、山田さんは、本来、9万円返済すればよかったわけです。
でも、山田さんは、現実には、サラ金に対して14万6000円を払っているわけです。
では、本来返せばよかった9万円と、サラ金に対して実際に払ってしまった14万6000円の差額である5万6000円は、どうなるのでしょうか。ここが、考えどころです。
債務整理の実務では、この、実際に払ってしまった差額分は、元金の返済にあてたものとして扱います。
そうすると、債務整理 をした場合、山田さんは、平成元年12月31日の時点で、山田さんには、もともとの残元金50万円から元金の返済にあてたことになる5万6000円を差し引いた、44万4000円の残元金だけを払えばよいことになります。
不思議ですね。
債務整理 をする前には平成元年12月31日時点での残元金は50万円だったのに、おこなった後だと、44万4000円の残元金になるのです。
さて、1年間だけの話だと、そんなに多くは減りませんが、これを、5年とか10年間などの長期間おこなうと、すごいことになってきます。
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